生成AIでTRPGしたら、想像できないほどに滅茶苦茶楽しかった話
今の生成AIを使うと、どんな遊びが出来るのでしょうか。
生成AIについて、ニュースでも取り上げられるようになり、その名を聞かない日はなくなりました。
しかし、興味はあっても、実際にそれを何に利用できるのか、ということに関しては、まだまだ分かってない人が多いと思います。
それもそのはず、生成AIが出現し、ここまで話題になったのも、ここ2年くらいです。
更にこの1年で、この分野は大きく変化し、進化してきました。
色々調べてる私が追い付かないほどです
また、私は長年(とはいってもここ4年くらい)のTRPGファンとして、いつも新しい体験を求めていました。
ついこの前は、1か月でGM含め27卓やったりしていました。アホかな
PLを500回やっても、GMを100回やっても、まだまだTRPGには可能性があると信じていました。
そこで、最先端のAI技術をTRPGへの取り入れることに挑戦してみました。
今回は、昨今話題になっている生成AIの可能性について、私の趣味である「TRPG」という側面から、何が出来るのか、何が起こったのかを話してみたいと思います。
結論から言うと、滅茶苦茶楽しかった。
- 今の生成AIを使うと、どんな遊びが出来るのでしょうか。
- TRPGと生成AIの邂逅
- AIの導入: TRPGに新たな風を吹き込む
- AIを用いたGM実践
- AIによるTRPGのGM実践
- 総括: AIとTRPGの未来
- 最後に宣伝!
TRPGと生成AIの邂逅
TRPGってそもそも何?
→こちらを参照ください。
missile-launcher.hatenablog.com
さて、本題。
TRPGにおいて、配布されている公式のシナリオ集を使わずにGMする場合。
通常GMはシナリオのストーリーを作り、世界観を詳細に描き、NPCの背景や性格を考える必要があります。
これは言ってみれば、小説や脚本を書くようなもので、時間と想像力を大いに要求される作業です。
また、セッション中のプレイヤーの行動に柔軟に対応するために、シナリオのバリエーションを考えるのもGMの重要な役割ですが。
これも、やはり非常に複雑で、経験と長い時間を要する作業です。
元々のTRPGの遊び方では、プレイヤー達が一つの部屋に集まって、GMが身振り手振りや口調だけの、限られた範囲でシナリオを伝えていましたが。
昨今、インターネットを通じてオンラインセッションが可能となり、オンラインセッション用のツールが台頭すると、ここに「画像」と「BGM」がセッションに使用できるようになり、更にTRPGの表現の幅が広がりました。
これはとても喜ばしいことで、今まで表現しきれなかったシナリオの奥深さを、手軽に表現できるようになったのです。
しかし、出来ることが増えることで、一度シナリオ作成に凝りだすと、「もっとクオリティの高いものを」と、堂々巡りにハマってしまう人たちも少なくありませんでした。
敵にぴったりな、或いはセッションの背景に丁度いい画像を探すのに時間を使い、いざセッションを始めたら、細かい描写の抜け漏れに気付くなど、よくセッション後の感想戦の中で笑い話になったものです。
ところで、TRPGの中で一番楽しい瞬間は何だと思いますか?
無限の可能性を試し、普段ならあり得ない方法で障害を突破できた時?
自分の分身として作ったキャラが、完成した時?
どうにもならないところで、全ての命運をかけたダイスで、奇跡が起こった時?
私は、やはりセッション後の感想戦こそ、TRPGの醍醐味だと考えています。
感想戦とは、その名の通り、セッション後にみんなでセッションの内容について反省したり、お互いの良かった点を指摘しあうことです。
これが本当に面白く、何なら本セッションの時間より長くなって、気づいたら朝になってることもしばしばな、恐ろしい沼だったりします。
これについて語りだすと、また記事一枚分になってしまうので、また別の機会で。
閑話休題。
さて、ここまでで、GMがオリジナルシナリオでセッションをする際に、入念な準備が可能な要素について説明しましたが。
ここで、ようやく生成AIが出てきます。
生成AIとは、ここではChat GPTに代表されるテキスト生成と、DALL·Eに代表される画像生成を指します。
詳細なことは私もあまり詳しくないので、記事内に不適切な説明が含まれている可能性はあります。使えりゃいいんだ使えりゃ
GMの準備として時間のかかっていた、シナリオ生成や具体的な描写作成、そしてセッション内の画像を生成AIで対応できたら、卓準備の負担が軽減されるのではないか?と思ったところから、今回の挑戦は始まりました。
尚、
全てのTRPGでここまでの準備をする必要はない
と断言します。
私が個人的に、クオリティ高いGM準備をどこまで手軽に行えるかの、飽くまでも一つ上のステップを行くための研究の一つと認識していただければ幸いです。
AIの導入: TRPGに新たな風を吹き込む
というわけで、早速Chat GPTを用いて、TRPGをやっていくことになります。
私はChatGPT-Plusを契約しているので、惜しむことなくGPT-4を使い倒します。
先ずは、簡単なところからということで、シナリオを作るにあたって、道中で発生させるランダムイベントについて考えてもらいました。
ここでは、シナリオのスタートとゴールをつなぐ間の、障害となるような簡単なイベントを想定しています。
いい感じですね。
プロンプトをかなり適当にぶっこみましたが、それだけでもかなり好意的に解釈して返してくれるようです。最近は本当に便利になりました。
これだけでも、メインクエストの最中のサブクエストを量産するには丁度いいでしょう。
しかし、今回想定しているのは、冒険中の障害となりえるイベントです。
キャラクターに判断と行動を宣言してもらい、判定を振ってもらうためのイベントなので、もう少し内容が軽い物が必要です。
そこで、次のように返してみます。
求めていたものがすぐに得られました。
これで、セッション中に「やべ、スタートとゴール決めたけど道中決めてない、何やらせるか…」と迷ったときに、いつでもランダムイベントを用意できます。
こういったイベントは、内容は大したことはなくとも、それぞれのキャラクターが持ち味を生かし、そしてお互いに声を掛け合うRPが出来るので、TRPGを盛り上げるスパイスとなりえます。
では、大分ネタが割れていますが、一切シナリオを用意していない状態の、0からシナリオをGPTに作ってもらうことは可能なのか、試してみました。
このプロンプトを書く前に、TRPGについてある程度教育してから臨みました。
そして結論、出来ちゃいました。
いやあ、「これで卓ネタが無くて卓が立てられない」、なんて事を言えなくなりますね。
この調子で、次はシナリオ最中の描写をやってもらいましょう。
私のTRPG関係の友人には、最初のシナリオ導入で、冒険者ギルドにて朝食をとっているPCたちの描写の際に、とんでもない飯テロ描写が得意な人がちらほら居ます。
飯テロがしたいわけではありませんが、例えばエモいシナリオ、またはホラーな描写をやりたいときに、GMの文才が凡庸であると、あまり盛り上がりません。
私は自分の文才のなさを自覚しているので、今回はGPTにそれっぽい描写を頼んでみました。
・・・どうしよう、GMがワクワクしてきた。
…映画始まったな。
さながら、D&Dの映画を思い出させる情景描写です。感動しました。
いえ、割と書かせたら凄いことは知ってたんですが、こんな雑なプロンプトでも、欲しいものをそのままピタリと渡してくれるとは思ってませんでした。
但し、AI特有の内容をあらすじにまとめる癖が発動し、PCの反応の余地なく、確定ロール(GMがPLの意見を伺うことなくPCの行動を決めること)してしまっているのは、TRPG的には減点要素です。
ここは、やはりまだまだ人間が調整に入る余地があると言えるでしょう。
AIを用いたGM実践
さて、シナリオの流れと描写が出来たので、早速セッションです。
こんな前衛的な挑戦に付き合ってくれる奇特な人たちのおかげで、卓を立てた瞬間速攻で卓面子は集まりました。
一回目は、かなり綺麗に進み、GPTの作り出した世界観を、PLの皆さんにも楽しんでもらえました。
一回の冒険で、4か所の地形を踏破する必要があるのですが、1か所を踏破するのに1回分のシナリオになる冒険を経たので、
「まだ一時間?内容が濃すぎる!」
という、PLからの嬉しい悲鳴も漏れてきました。
以下、リプレイの一部です。
GM: さて、皆さんは途中で一泊し、次の地域の探索に備えます。
GM: 次に向かった先は、ヴェノムスワンプと呼ばれる場所です。
GM: 冒険者たちがヴェノムスワンプに到着すると、目の前には恐ろしい沼地が広がっていた。水面には緑がかった毒々しい膜が張り、その下には黒い泥が沈んでいる。周囲には歪んだ形をした木々が立ち並び、その枝からは不気味な靄が垂れ下がっている。空気は有毒なガスによって重く、息をするだけでも喉が焼けるような痛みを感じる。
モルドレッド: 「うわ……!」 慌てて鼻を抑える
モルドレッド: 「……ここ、空気超悪いな。鼻が曲がるかと思った」
ケートス: 「毒の沼《ヴェノム・スワンプ》、読んで字の如し、ですね。」
シャーマン: 「あまりいい気はしないわね…」
ソフィーヤ: 「・・・ケホケホ」
ケートス: 「解毒薬は人数分以上用意しておりますので」
ケートス: 「必要であれば言ってください」
通常の冒険を楽しんでいる様子が伝われば幸いです。
卓後のPLからは、「大冒険だったが4時間で一周するには展開が早かった。CPでゆっくり遊びたい」という評価をいただきました。
つまり、クオリティが高すぎてもっと時間かけて遊びたかった、ということのようです。
自分の成果では決してないですが、期待されるのは嬉しいですね。
そして、一回目は王道なシナリオ運びに、王道に反応してくれたPCたちのおかげで、王道のまま終わることが出来ました。
そして、事件は二回目を回した際に、起こるのです。
先ずは、二回目冒頭のリプレイの一部を以下にあげます。
グランドール(NPC): 「アストラル・オーブは、エルディリアの遺跡の最深部にある『知の間』と呼ばれる場所に安置されており、そこには魔法の結界や罠が張り巡らされている。また、遺跡には強大な怪物や守護者たちが潜んでおり、秘宝への道は容易ではない。」
リーレット: 「オーブですか、わたくしは一緒に刀剣の類でも眠っていないかなと期待してしまいますねぇ」
緋色大剣使い: 「へー、失われた都市の捜索楽しそう」
ジーコ: 「それはとてもすごい話ですね。私は挑みたいと思います」
グランドール(NPC): 「ほっほっほ、そうじゃな。失われた都市ともあれば、伝説の剣の一つや二つはあるであろう」
エルフィノ: 「アストラル・オーブ?知識を物から授かるってのは少し考え物だけど、本物かどうかは興味があるわ。」
ここまでは、通常のキャラのRPでした。
しかし、途中で雲行きが怪しくなるのです。
以下に、中盤のリプレイの一部を上げます。
緋色大剣使い: 私達は飛竜の天を割くような嘶きを、仲間との絆と勇気で乗り越え怪物の群れに立ち向かいます
緋色大剣使い: そして目をあわせてうなずき合います
ジーコ: 私達は協力しあい知恵を出し勇気の試練を越えて勇気を示します
エルフィノ: 火が効かないというトラブルはあったものの、飛竜は徐々にその数を減らすだろう。
リーレット: 群れる飛竜たちは無数でした、しかし冒険者である私たちはそれを相手にしてもひるむことなく対峙するのです
GM: では、皆さん力を合わせ、勇気を振り絞り、飛竜たちのブレスをかいくぐり、そのすべてを地に叩き伏せて行きます
ジーコ: 私達は勝利を確信します。互いで眼を合わせて頷きあいました
GM: 皆さんは、特に大きな消耗する事なく、試練を突破することに成功しました。祭壇へ戻ると、古龍の魂が皆さんを迎え入れます。
…なんと、誰もセリフでRPしなくなったのである!
それどころか、PCが所々AIのような返しをするようになってしまいました。誰がGMなんですかこれ。
きっかけは、GPTの始めた確定ロールで、冒険中の描写で何かが起こる度に、しきりにGPTが冒険者たちに「互いに目配せし合って頷きあう」RPを強制させたからです。
ここは、本来GPTの至らない所という欠点だったのですが、その場のPLのノリがよく、それ自体が最後までネタとして昇華され、全員でゲラゲラ笑いながらそのセッションを進めることが出来ました。
こうやって、何かミスがあったとしても、それをみんなで楽しく弄って遊ぶことが出来るのも、TRPGの柔軟性と面白さでもあります。
…さて、ここまでは、飽くまでGPTにシナリオ作成のお手伝いをしてもらっていました。
しかし、ここで私は気づいたのです。
GPTは、ハイクオリティなシナリオを作るのに使うのではなく、即興で生成できる部分を活かした方がもっと面白くなるのでは?
そして、AI導入計画は第二フェーズへと移行することになるのです。
AIによるTRPGのGM実践
GPTによるシナリオ作成した卓から、半年ほど経ちました。
シナリオ作成時は、まだGM出来るほどの能力はないかなあ、と言った印象だったのですが。
時間を置き、再度同じことを試すと、遂にGPTがGMのようにふるまい始めたのです。
この頃、身内の中では「白紙卓」と呼ばれる完全即興卓が流行っていました。
その名の通り、一切GMはシナリオの準備をせず、セッション前にPLからキーワードを抽出してもらい、そのキーワードを元に、全てアドリブでシナリオを生成し、セッションを始めるというものです。
これは、かなりGMのアドリブ力を鍛えるのに丁度いい訓練方法なのですが、今回はそちらの話は軽く流します。詳しくはまたの機会に。あるのか
今回、GPTにGMをしてもらうのは、まさにこの「白紙卓」でした。
その場で即興でシナリオを作り出してくれるGPTなら、面白いセッション運営が出来るのではないかと踏んだのです。
そして、実際に試してみました。
そう、もうこの時点でGPTはGMになり切っているのです。
私は、サブGM兼、PL達の意見をGPT-GMに伝えるインターフェース、及び端末として、動くことにしました。
基本は、私が「一般的なシナリオの導入はこういう形だな」というイメージを持って、GPTにGM運営を任せている形です。
ここで、面白かったのが、当たり前ですがシナリオの詳細や展開は、GPTにしか分からない(寧ろGPTも知らない)ということです。
GMであるはずの私も、途中の分岐路で、どちらを選ぶとその先どうなるか、ということを知らされていないので、PLに交じって一緒に判断したりすることが出来ました。
とても新鮮ですね。
以下その場面のリプレイの一部です。
GM: さて、この情報をもとに、プレイヤーたちは次の行動を考えることとなります。お次はいかがしますか?
アリア: どこから手をつけようか
マリア: うーん
マリア: 洞窟か、寺院?
アリア: 寺院から行くか
ヘイゼル: 魔物がいそうなのは洞窟?なんか大事な石がありそうなのは寺院?
マリア: 大体そういう認識してる
アリア: 多分洞窟は最後かなぁって
森人魔女/リリィ: 寺院からかしら
ヘイゼル: どっちでもOKなので寺院でー
GM: 多分そう(GMすら判断が怪しい)
アリア: イベントアイテムが必要なやつだ、きっと( ◜◡^)
森人魔女/リリィ: HAHAHA
GM: 多分魔物倒せば終わりだと思うんだけど、その為には寺院通ったほうがよさげ米
GM: これ、普通にGMもPLとして参加できるの草
アリア: だって、シナリオが分からないもんねぇ
マリア: HAHAHA
ヘイゼル: HAHAHA
森人魔女/リリィ: それな(・ω・)
この後、色々あった末に、きちんと着地し、セッションは無事終了。
参加したPLの皆さんにも、大いに満足してもらえるセッションになったようです。
また、画像生成AIを同時に使ったこともあり、冒険の舞台の雰囲気を、即座にその場で分かりやすくイメージしてもらえたので、PLも反応しやすいとのことでした。
つまり、結論として、今のGPTはTRPGのGMもすることが出来るということが分かりました。
総括: AIとTRPGの未来
ここまでを振り返って、TRPGに生成AIを導入するとどうなるのかの説明をしてきました。
TRPGの準備にかける時間、GMの負担、そしてネタの新規性、即興力。
これらすべてが、生成AIの登場で一変しました。
生成AIによって瞬時にシナリオが作られ、必要な画像もすぐに手に入るようになりました。
さらに、GMとしての負担も大幅に軽減され、ゲームの流れにも新たな柔軟性が生まれました。
生成AIは、プレイヤーの行動に基づいてリアルタイムで物語やシナリオを適応させることができ、人間のGMでは難しい即興の柔軟性と応答速度を実現できます。
それだけではなく、生成AIはランダムかつ創造的なイベントやキャラクターを生成することもでき、よりゲームに新鮮さと予期せぬ展開をもたらすことが可能です。
そして、生成AIの予期せぬ挙動がもたらす笑いも、私たちのセッションをより楽しいものにしています。
この記事では、生成AIを使ってTRPGをすることで開かれた新たな扉について、私の体験を通じてご紹介しました。
生成AIを導入したTRPGは、ただのゲームを超えた体験を私に提供してくれました。
特に、生成AIの即興的なシナリオ生成能力は、私の想像力に新たな刺激を与え、感動させてくれました。もうシナリオのネタ考えなくてもいいやん的な意味で
私の体験は、TRPGの未来における生成AIの可能性を示唆しています。
技術が進化するにつれ、私たちの物語作りの方法も進化し続けるでしょう。
生成AIが創り出す無限の物語の世界は、これからも私たちを驚かせ、喜ばせてくれるに違いありません。
最後に、この記事を読んでいる皆さんにも、生成AIを活用したTRPGの世界を探求してみることを強くお勧めします。
皆さんの体験や考えを共有し合い、この新しい冒険に一緒に飛び込んでみませんか?
最後に宣伝!
私が現在やっているTRPGのシステムは、「ゴブリンスレイヤーTRPG」というものです!
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電子版という縛りはありますが、エラッタもある程度適応されています
TRPGのやり方が分からない?一緒にやる友達が居ない?
大丈夫です、私が居ます。
興味があれば、声をかけていただくだけですぐに対応します。
というか声掛けに行きます。
皆さんの反応、お待ちしております。
Bay Leaf でした。